博士のゲル化剤

博士のゲル化剤(増粘多糖類)によってゲル化してしまった俺は、いつでも液状になることができた。授業中答えがわからないのにあてられた時、ゲル化することによって恥辱からわが精神を守るのである。プールでは潜ったままゲル化することで好きなあの子のカラダにまといつくことができる(もっともこの場合、別のゲルを出さないように気をつけなければならないが)。
「博士!大変なことがわかりました」
「どうしたバタ犬子さん!」
「ネットでよく調べてみたらゲル化剤は液体を固める凝固剤のことでした!」
「そ、そうだったかぁ〜」
「どうしましょう?彼に言いますか?」
「いや、やめておこう。世の中には知らなくていいことのほうが多いものだよ、バタ犬子さん」
「そうですね。わたしがつねにバターを塗っているということも知らなくていいことかもしれませんね」
「残念ながら、それはみんなが知っていることだよ」
「そうだったんですか。意外です」
「人は意外とよく他人のことを見ているものだよ。自分のことは誰も見えないがね」
「含蓄がありますね、博士」
「だって博士だもの」
「博士、最後に一言」
「うん。みんなも何かをやる前はよく調べよう!」



ひどいなこれ