告知

ゆるいフリーペーパー「からだのこと」1号に、
執筆者として参加しました。
http://www.facebook.com/event.php?eid=179071735512565


こちらの場所で、置かせて頂いています。


・新・港村 blanclass神奈川・横浜)
http://blanclass.com/_night/archives/6328


・小平オープンスタジオ ミルク倉庫10/29、30、11/5、6(東京・小平)
http://os5kodaira.tumblr.com/


AWA(栃木・宇都宮)
http://www.facebook.com/pages/AWA/241579982551441?sk=info


・四谷アート・ステュディウム(東京・青山)
http://artstudium.org/


配布場所は、今後増える予定です。
こちらの場所に行かれることがあるようでしたら、皆さん手にとってみて下さい!

コント的なもの

スーツ姿の二人の男。Aはあぐらをかいて座っている。手には卓球のラケットを持っている。
Bは横向きで立ったまま折り紙で紙飛行機を折っている。Bは飛行機が完成するとAに飛ばさなければならない。自分の近くに紙飛行機が来たときAはラケットで叩く。


A「私の母は、ピンポンダッシュが得意でしてね」
B「奇遇ですね。私の母は、ピンポンダッシュが大の苦手でした」
A「それはお生憎さまで」
B「私の母は、ピンポンダッシュするとき、必ずドアが開いてから逃げ出すのです。ばっちり顔を見られた母の噂は、町内会を巻き込む黒い渦のようにひろまったといいます」
A「そういえば私も見たことがあります、あれはあなたの母だったんですか?」
B「‥私に聞かれてもね」
A「私の母は『絶対に見つからないピンポンダッシュ』をすることができる唯一の人間でした。それを近所の家庭に広めるため、教室を開いたんです。これが盛況でして。ある日、彼女はご近所のママたちを率いて、いっせいにピンポンダッシュを決行しました。今でもその様は、『武蔵関主婦の陣』として語り継がれています」
B「そうなんですか」
A「ええ、自慢の母でした」
B「‥もうこの話は終わりにしましょう」
A「わかりました」
沈黙。
B「静かですね」
A「私たちはみな、気まずい沈黙に耐えて生きていかねばならないのです」
若干の間。
B「髪、切りました?」
A「切ってません」
B「じゃあ、今度一緒に床屋に寄ってみませんか?」
A「床屋ですか」
B「ええ。私、人に髪を切られるのが好きなんです」
A「変態ですね」
B「はい。私は人に髪の毛を切られるのが好きなド変態です」
A「‥二度と私に話しかけないでください」
B「わかりました」
沈黙。その間も二人の行為は続いている。「ピンポーン」と、呼び出し音が鳴る。二人は反応せず、動作を続けたままである。
A「賭けをしましょう。今ピンポンを鳴らしたのは、あなたのお母さんか私のお母さんか?」
B「いいでしょう、では私は‥私のお母さんにボーナス全額賭けます」
A「私も、私のお母さんに全てを賭けます」
B「私のお母さんですか?」
A「私のお母さんです」
B「つまり私のお母さんですか?」
A「いいえ、私のお母さんです」
B「わかりました」
舞台の袖のほうへAが見に行く(この時Aの姿は客から見えない位置にいなければならない)。帰ってくる。
A「誰もいませんでした。私の勝ちですね」
B「そうとは限りません」
A「いえ、誰もいなかったということは私のお母さんだった、ということです」
B「なるほど、意味がわかりません」
A「母は絶対に誰にも見つからない最高のピンポンダッシャーでした。見つかったときは自決する覚悟でやっていたんです。そんな母が見つかるわけないでしょう」
B「しかしあなたの母と決まったわけではありません」
A「あんな速度で逃げられるのは、私の母に決まっています」
B「まだわかりません。もし次来たらすぐ出て確認できるよう、玄関のすぐ前にいてください。あなたの母は絶対に誰にも見つからないのでしょう?」
A「‥そうですか。わかりました」
呼び出し音。Aは鳴った瞬間にすぐに出る。
A「はい!‥だれもいない」
B「本当ですか?」
Bが確認しに来る。
A「どうです、誰もいないでしょう」
B「確かにそうですね。しかしあなたの母かどうかはわかりません。何かの故障か、偶然かもしれません」
A「これはまたナンセンスなことを」
B「もしかしたら私の母だったのに、貴方が嘘をついているのかもしれません。貴方は母を見たのですが、彼女は私が来る前に逃げたのです」
A「ほう、そういう屁理屈できますか」
B「それならば、今度鳴ったときは二人で出ませんか?」
A「‥いいでしょう」

「ピンポーン」
A・B「はい!‥だれもいない」
A「ほら見なさい、私のお母さんでしょう」
B「‥だれもいないじゃありませんか」
A「だれもいないからこそ、私のお母さんなのです」
B「そんなに人のボーナスが欲しいんですか?」
A「ええ、私が欲しいのはボーナスだけですから」
B「世の中は、お金が全てじゃありません」
A「私のお母さん以外にどんな理由があるのか、説明できるものならして欲しいですね」
B「もしかしたらあなたがベルに細工をしたのかもしれません」
A「誰の家だかもわからないのに、どうやって細工ができるんですか?」
B「そういわれると困りますね」
A「早くボーナスをください」(といいながら何かを受け取るように手を出す)
B「ボーナスを渡したら、床屋に毎日行けなくなってしまいます」
A「知りません」
Bの携帯電話が鳴る。
B「はい。え?‥ええ、はい。はい、はい。‥そうですか、わかりました」といい、電話を切る。
B「母が死んだそうです。すっかり忘れていましたが、母は危篤だったんです」
A「それはお生憎さまで‥」(といいながら何かを受け取るように手を出す)
B「今医者が言ってました。‥母は死ぬ間際、指でベルを押すしぐさをして、『ピンポン、ピンポン』とうわごとのように呟いていたようです」
A「なんですって‥」(といいながら何かを受け取るように手を出す)
B「最後に、誰にも見つからない、最高のピンポンダッシュを母はやってのけたのですよ」
若干の間。
B「‥もう、この話は終わりにしましょう」
A「‥わかりました」(といいながら何かを受け取るように手を出す)

「私、服屋でうろうろしていて、人にぶつかったんです。それで「あ、すみません」って謝ったら、それが鏡に映った自分の姿だったことがあるんですよ」
と、そう言うことで天然ボケな自分を演出してみせたボクだったが、ふと気がつくと話しかけていたのは友達ではなく、鏡に映った自分自身の姿だった。だが、それを気にすることなく、僕は話した。
「『なんかこの人、よけないなあ』とは思ったんですよね。それで、近いんだから向こうもこっちの存在を認識しているだろう、そう思って構わず行こうとしたんです。そしたらまったくよけないんで、直前になって私がよけようとしたら、なんか同じ方向によけてきて、思いっきりぶつかったので、むかつきながらも素直に謝りました」
そう鏡に向かって言う事で、サイコな自分を演出してみせたボクだったが、ふと気がつくと話しかけていたのは自分ではなく、鏡に映った友達自身の姿だった。だが、それを気にすることなく、僕は話した。
「それで店員に、『いや、私天然なんで』って天然ボケな自分を演出して見せたんですよ。そうしたら「あ、そうなんですかボクも天然です」という答えが返ってきて、すでにその答えが有る程度天然な感じだったので『こいつはやるな』と思って、友達になったんです」
そう鏡に向かって言う事でフレンドリーな自分を演出してみたボクだったが、ふと気がつくと話しかけていたのは鏡に映った友達自身ではなく、君だった。だが、それを気にすることなく、君は話した。
「で、そいつと友達になったんですけど、そいつが意外とサイコな一面を持っていたんですよ。人の過去の秘密を根掘り葉掘り探ろうとしたり、やたらと鏡にぶつかっていったりするんです。最初は天然な自分を演出して見せてるだけなのかと思ったんですが、結構本気なんじゃないか?と段々怪しくなってきましてね」
そう言う事で天然な自分を演出してみせてるだけの僕を本質的に突いた君だったが、君はふと鏡屋に入って、しばらくうろうろした。君は、カウンター越しに高価な手鏡をもってそれをさんざん褒めちぎった後、百円ショップに行って鏡を買った。
「まあ、せっかく友達になれたんだし、そんな一面には目をつぶることにしました。それで、ある日家に行ったんです。ドアを開けて家に入ったら、そいつ、三面鏡に顔を挟んで、正座してたんです。「こうしていると、三面鏡に顔を挟んで千の自分を見ていた幼い頃の日々を思い出すよ」とか言い始めました。で、僕がいる間ずっとそのままで僕と会話してたんで、流石に頭にきてそれ以来会ってないんです」
そういう事で、僕と会わなくなった君だったが、千の自分による自分ミリオンを味わいたかった僕は、特に後悔はしていなかった。君の顔に三面鏡に挟み込むだけの価値がなかったのが悪い、そう考えた僕は肉のない死体がいっぱい吊り下げられているあの「服屋」という危険な場所に足を運んだ。僕はそこでしばらくうろうろしていて、そこで写った鏡越しに、ボクにぶつかってきた。
「その後も何回か向こうからメールが送られてきたんですが、無視しました。それ以来鏡を見るとあいつを思い出すようになりましたけど。まあ、最初に会ったときから、違和感は感じてました。最初にあったのは服屋なんですけど、鏡に映った自分に謝ったりしてましたから」

だいぶ更新ができなくなっていますが、そろそろ再開します。

さて、明日になってしまいますが、
blanclassの、+nightに出演致します。
是非、お越しください。
会場は井土ヶ谷ではなく、新港ピアですので、ご注意ください。
↓地図
http://blanclass.com/japanese/info/mapcoupon


[ミュージックナイト] blanClassならではのスーパーライブ!!

ゲスト:外島 貴幸/星舟庭(原田靖子・岩清水さやか・大鹿智子)/安野太郎/low-tec(開発 好明・高安 利明)

日程:9月24日(土)

開場:19:00 開演:19:30

入場料;1,500円/学生:1,300円

http://d.hatena.ne.jp/blanClass/20110921/1316598678

以下のイベントに、ゲストとして参加します。
是非、お越しください。
http://blanclass.com/japanese/219%E3%80%80%E3%81%8A%E3%81%A8%E3%81%A8%E3%81%93%E3%81%A8%E3%81%B0%E3%81%93/
おととことばこ 「おままごとばこ」

開場18:00
開演19:30

一般1,200円
学生1,000円

日常のありあわせを使った、ことばの調理実習ショウ。
ゲスト:おさらさま(柿ハンドルドライブ関係)/外島貴幸/山本雅彦


こちらにも、blanclassの運営者である小林晴夫さんによる紹介があります。

おととことばこ [おままごとばこ] - blanClass+column

伝説の家庭料理

伝説の家庭料理「三重苦」は、味も匂いも形も食感も全てが一致しないという、我が家でしか作ることができない伝説の家庭料理だった。
「味はキムチなのに見た目はフランスパンで、食べるとぱりぱりしていてなんか魚臭い!」とその家に訪れたお客さんは「三重苦」を食べて驚くのだ。だが最初は面白がっているものの、次から次へと出されるバラバラ料理に、「だんだんこの三重苦と見た目が同じあの料理がどんな味だったかわからなくなってきた‥」と言って客はブルーになっていく。こうして客に気まずい沈黙を強いるのが、この家にとって最高のもてなしだったのだ。
ところで、そこの子供であるまさはるは通常の料理がほとんど食べられなかった。「三重苦以外の料理は、味も見た目も匂いも、全部バラバラじゃないか」というのがその理由だったという。


調理後の三重苦。

アイスクリームで日出づる国の天子の肖像を形作ったのに朝になるといつも溶けていた。
「まあ日が出づるんじゃしょうがないだろ」と言った父の口元にはいつも白いものがついていて、聞き質した私だったが、「子供の頃に飲んだ脱脂粉乳の名残りだ」と言って彼は聞かなくて、それに怒った私は彼を冷たくした。「やがて日出づるから」と騙された男の生白い両足がはみ出ていて、おばあちゃんの形見の入れ歯が、コップの底で震えていた。