枯葉剤を大量に投入して擬似秋をつくる計画を立案したベトナム帰還兵のボビーは、ひとまず小金井公園をその標的に定め実行に移したのだった。
「真夏であるにもかかわらず、枯葉を見るとどうしても秋を感じてしまう」と公園に訪れた人々から口コミで噂が広がり、家族連れや老人、サラリーマンに至るまで避暑を求める者達が群れを成して小金井公園に押し寄せた。
ボビーはこれを見て喜び、彼の枯葉剤投入はエスカレートしていった。とうとう全ての葉が落ちて、風景だけは真冬と同じ様になったという。
すると突然、「暑い、暑すぎる」とみんなが逃げ出し始めた。全ての葉が落ちたため直射日光に晒されたのだ。
「一度落ちた葉は、もう元には戻らないのか」とボビーはなんとなくエコっぽい事をいってみた。
Joel Meyerowitz
”Prospect Park, woods in the Ravine, autumn ”
