今週のお題「2010夏のふりかえり」

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暑い日差しの中、妖怪しょくもつれんさが木の枝のような形をした二本の足を交互に回転させて、歩いていた。この妖怪は食物連鎖を体現しているため、生まれて来た途端に自分自身を食べ始めるのだ。しょくもつれんさは、「アッー食べ食べられてる!」と叫んで自身の口っぽい何かに吸い込まれ、食べ食べられ終わると日の光に溶けていくのだ。

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斜め四十五度の角度で敬礼したように見せかけて実はしていなかった男、護国寺午後男が上官の命令に逆らって土地を改良した。「この土地からは芋づるがいっぱい生えるぞ」とはしゃいだ上官の予想を裏切った形になった午後男は、土地の中に上官を埋め、改良のための一里塚を築き上げようとしたのだ。実際埋まったのは足だけだったが、ひよわな上官は身動きができなくなった。
「こんな木は、虫も寄り付くまい」
と午後男は反吐をその木に吐いた。