「また実験に失敗した」
と言って竜巻を避ける穴に入ろうとしたのはコバーン博士だった。
「一人で逃げないでください」
と、妻が後ろから博士の腕を掴んだ。
「いいかげんにしやがれこのクソ親父が」
娘のドロシーは、これから友達の家のホームパーティーに行くところだった矢先に竜巻を起こされ、ブチギレていた。
「ドロシーちゃん、仕方ないよ」
犬はドロシーにしかわからない言葉で言ったが、ドロシーの眉間に亀裂が走ったので、それ以上何も言わなかった。あまりドロシーを怒らせると、そのたくましいふくらはぎから繰り出されるキックをお見舞いされてしまうのだ。
博士は、回転寿司をより効率的に回転させる為に、寿司をまわしているベルトコンベア的なアレを、新たに開発していたのだ。
ようやく完成し、テスト走行の段階になったが、ベルトコンベア的なアレはこの時暴走し、竜巻を発生させたのである。
「明日、無数の寿司のネタが雨になってネブラスカ州に降り注ぐだろう‥」
と遠い目をして博士は呟いた。
Annie Leibovitz
”THE WIZARD OF OZ”
