今週のお題「理想の住みか」

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トゲトゲのついた天井が、ゆっくりと降ってくる。
目覚まし時計として、セットした時間丁度に突き刺さってくるのだ。
アラームが10分前に鳴る。朝どうしても起きれない者は、この時計を使用すると必ず目が覚めるという―覚めなかったら永遠の眠りにつく破目になるからだ。
外側からかかっている鍵を外すためには目覚まし時計の上のレバーをひねらなければならない。
風呂とトイレは天井を一回床まで落とした後で無ければ入れない。
なんにせよ、冷蔵庫は地中深く埋まっているから安心である。

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「仕掛けには三人必要だ」と非生産的な乗組員数名は言った。
「休息時にはワインが支給される‥やはりフランス人といえばワインだからな」
そう言ってトタン屋根の上にはしごをセットしたのはフランス人のモラミッソだった。
我々は暑い日差しの中、仕掛けを仕掛けなければならない‥。
モラミッソは汗を手でぬぐった。彼の足元には大量の汗が水溜りとなって臭いを放っている。ふと足を滑らせ、地面に置いてあった、これから壁として設置するはずの木材にぶち当たった。
現場監督のケセランは、
「彼も知るまい、この仕掛けの影にこんな苦労があることを」と呟いた。