今週のお題「都会 or 田舎?」


「東京砂漠から脱出しなければ‥」そう言って人々は次々と東京砂漠から脱出し始めた。
フェンスの向こうに広がる東京砂漠から列をなして「地方ジャングル」まで行こうとする東京人たち。
「地方ジャングル」にはしかし何が待っているかわからない‥。東京砂漠にいると、外の情報が一切入ってこないのだった。「地方ジャングル」の国境には、「はまだまさとし」という男が待ち構えてるらしい、という噂が流れていた。その男の、「地方ジャングル」で鍛え抜かれた右手から繰り出される奥義に耐えられた者だけがそこを超えることが出来る‥そんな都市伝説が彼らの間には流れていた。
「でも、この一歩一歩を踏み出していくことで、少しずつだけど確実に地方ジャングルまで近づいていっているんだ」と少年は言った。「そうだな、よしのぶ。ほら、『地方ジャングル』からの光が列の先頭の方を照らし出しているだろう?」と父親は答えた。
だが、そのさらに先にはなにがあるのかわからなかった。眩しすぎて見えなかったからだ。あの先には「はまだまさとし」がいて、人々を選別しているのだろうか。それとも、他の誰かがいるのだろうか。それとも、だれもいないのだろうか?
それは父親にもわからなかった。



Dorothea Lange
"Japanese Americans line up at Tanforan Assembly Center"