今週のお題「マイ・ミュージック」

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世界標準時の、ちょうど境界線を反復横飛びするのが趣味の男、マーク・マッキンレーはギネスに挑もうとしていた。24時間境界線を横飛びしつづける‥それが彼の野望だった。だが彼は凡帳面な性格だったので、一回飛ぶごとに時計の針を一時間進めたり、戻したりしなければならなかった。「どうやって計ればいいんだ!」と彼は叫んだ。彼は両サイドに時間を計る人間を置いた。だが横飛びして別の標準時にいるときはこちら側の時間帯に彼はいない‥この問題が二人のレフェリーを悩ませた。彼は1秒に一回、こっち側に来る。それを0.5秒としてカウントし始めた。こうしてギネスへの記録樹立を目指し、24時間反復横とびが始まった。延々と反復横飛びが繰り返された。両サイドの二人が「24時間たったぞ!君は記録を達成したんだ!」と言ってマークに抱きついた。だが、その抱擁とともに反復横とびに力を使い果たしたマークは死んだのだった。「24時間じゃなかった気がする‥」というのが彼の最後の言葉だった。

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グリニッジ天文台が暴走し始めた。世界標準時計が自らを突如兵器として意識し始めたのだ。こうしてくっきり一時間ごとに、世界標準時の内側の世界の時間が停止していった。「こんなことなら世界標準時なんて設定しなければよかったのに‥」と呟いたのはゴードン・ブラウン首相だった。「首相、名案があります」とホーキング博士が突っ込んできた。首相は吹っ飛んだ。「何だね、その名案というのは」と首相は立ち上がり、ほこりを払いながら言った。「世界標準時計の回転を逆に巻けば、世界が元通りになるかもしれません」と博士は言った。こうして時計の技師たちがスイスから大量にやってきた。だが、どんなことをしても世界標準時計は止まらなかった。正確に時を刻み続け、一時間ごとにタイムゾーンの内側の時間を停止させていったのだ。
「このままではここも停止してしまう!」と首相は叫んだ。「しかし全てが止まった後でもこの時計だけは、正確に時を刻み続けるでしょうね」とホーキング博士が言った。

from time zone * the afrika bambaataa/john lydon