早口言葉現実化連盟

「早口言葉現実化連盟」が、とうとう「バスガス爆発事件」をひきおこした。
これは誰しも予想できた事態だったのだが、警察の対応は相変わらず遅く、世論の非難を浴びたという。
最初、「早口言葉現実化連盟」は牧歌的な集団であると考えられていた。
構成員は、寝るとき赤パジャマ青パジャマ黄パジャマのいずれかを着て寝なければならない、庭には二羽鶏を飼わなければならない、などのルールに従い生活していた(屏風に上手に坊主の絵をかける坊主を探し出し、実際に描かせてみたときなどはTV局が来て無邪気にその様子を中継したものだ)。
だが、東京特許許可局をつくれ、すももも桃のうちにいれろ、等と要求しはじめたとき、この集団に対する世間の風当たりは強くなったのだった。
早口言葉を次から次へと現実化していくことが目的ならば、この集団はついにはあの早口言葉を現実化させようとするのではないか―そんな不安が市民の間に広がったのだ。
そして彼らは遂にそれを実行に移した。
都心で起きた「バスガス爆発事件」は、死傷者18名を出した。
捕まる直前、彼らの指導者である寿限寿限無五劫の擦り切れ海砂利水魚の水行末雲来末風来末食う寝る処に住む処やぶら小路の藪柑子パイポパイポ パイポシューリンガンシューリンガングーリンダイグーリンダイポンポコピーポンポコナーの長久命の長助は「我々にお憐れみを!」と見事な滑舌で叫んだという。
この事件により早口言葉はタブーになり、日本中のアナウンサーの滑舌が悪くなったのだった。