「日本に、上り坂と下り坂はいくつあるでしょう?」

「日本に、上り坂と下り坂はいくつあるでしょう?」というクイズをだされ、ありとあらゆる資料を精査し正確な数を導き出そうと必死に研究したが「答えは『同じ』だよ」といささかげんなりした口調で告げられた俺は、下り専門の坂を造ることを決意したのだった。
この坂は勾配は急ではないが決して上がることはできないので、「上り坂と下り坂の数は同じ」という答えはもはや成立しなくなったのだ。俺は自分にそのクイズを出した友人をよびだして、言った。
「どうだ。上れないだろう。これにより君の答えは成立しなくなったのだ」
「く・・なんてことだ。あのクイズだけが俺の人に出せる唯一の話題だったのに・・・許さん、許さんぞ貴様!」
俺の友人だった男は怒り、なんとしてでも俺の作った坂を上れるようにする研究を始めたのだった。
「とうとうわかったぞ・・・」
白髪になった俺の友人だった男は、自信満々の笑みとともに俺に言った。
「お前の作った坂は、逆立ちしながらだと上れる!」
そして、奴は逆立ちしながら上り始めたのだ。
「フハハハハ。下り専門の坂、破れたり!」
「なんということだ・・・俺の坂が破られるとは・・・」
俺は坂についている自爆スイッチを作動させた。
こうして再び上り坂と下り坂の数は同じになったのだった。