Inventionのための23のVarietions

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おばあちゃんがアイ・コンタクトをとりはじめた。
アイ・コンタクトで異星人とのコンタクトをとるおばあちゃんが激増したのだ。
「基本的に、異星人とのコンタクトは全て目で行わなければならない。ところでもっともおばあちゃんから遠い概念はなにか?それは『ちんこ』である、という結論に我々は達した」
というのがNASAのコメントだった。
このNASAの公式発表は人々を驚かせた。なによりも「おばあちゃん」と「ちんこ」の関係についてNASAがその見解を明らかにしたのは初めてのことだったからだ。
異星人はおばあちゃんとアイ・コンタクトするだけで特に何もしなかったので、「里帰りしたときにいつもいる、なんか変わった体型の人」というだけの存在になった。
だが、ある日全世界のおばあちゃんが空へと浮かび上がり、消えていった。
夏の夜。実家に帰ってきた雅夫の家族は、線香花火の弱い光を見ながら、おばあちゃんのことを思い出していた。
「そういえばおじいちゃんが言っていたよ。おばあちゃんは竹を切ったときに、なかから赤ん坊としてでてきたんだ、と‥‥」
「じゃあ、おばあちゃんは生まれてきたところに帰ったんだね‥‥」
「いや、それは無理があるぞ、雅夫」
雅夫の父はそう指摘したという。