Inventionのための23のVarietions

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「ズボン」のことを「パンツ」と皆が言い始めたのはいつからだっただろうか?
しかもイントネーションを「パ(ド)ン(ド)ツ(ド)」と全て同じ音程で発音しはじめたのは?
それはまるでパンツによる革命の様相を呈していた。
いままでの「パンツ」はどうなってしまうのだろう、と思っていたら、それらは細分化して「ブリーフ」「トランクス」等とよばれるようになったのだ(尤も前からも呼ばれていたが)。
「下着」としての「パンツ」概念はこの地上から消えたのだろうか?
「私はパンツをはかない主義なので関係ありませんが、これは早急に対策をとらねばなりんません」
というのが内閣総理大臣のコメントだった。
世界中の「パンツ」はこの革命の成就を喜んだが、「ズボン」は自らの抹消を受け入れられなかった。「パンツ」対「ズボン」の階級闘争は、ひとまず「パンツ」に軍配が上がったのだ。
「我々はまだ細々とおばさんたちを中心に生き延びている‥‥待ってているがいい!パンツよ!」
おばさんたちの語彙の中で生き残った「ズボン」たちは、こうして密かに反動的反革命運動を目論んでいると言う‥‥