Inventionのための23のVariations

4

ドア信子が家の夫に牙を剥きはじめた。
寝ようとして夫を握りつぶしてしまうドア信子が出現したのだ。
それはあたかも信子によるテロの様相を示していたという。 
夫が寝ようとすると、にぎりつぶし、新たに結婚した夫もまた握りつぶされる。
「わたしの乳首をドアノブ扱いした罰よ!」
信子はそう叫んでは夫を握りつぶしていった。
「なぜ俺がこんな目に‥‥」
握りつぶされた夫は妻になり、自分の夫も同じ目にあわせはじめた。
ぞうして夫はやむことなく妻になり続けたという。
いつしか地球上の夫は破壊され、一切の子どもが生まれなくなる日が来るだろう。
「愚かな‥‥自分で自分の首を絞めるとは‥‥」
というのが有史以来人類を見守り続けてきた宇宙人のコメントだった。