Inventionのための23のVariations

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家のドアノブが人間に牙を剥きはじめた。
あけようとして血まみれになる小学生や主婦が続出したのだ。
それはあたかもドアノブによるテロの様相を示していたという。
お父さんがなおそうとすると、自爆し、新たに設置したドアのドアノブもまた牙を剥きはじめる。
「このままでは部屋の意味がなくなってしまう」
そう考えた不動産会社社員たちはみずからがドアノブをあけているあいだにお父さんを通すという自己犠牲にでたのだった。
血まみれの社員を踏み越えて部屋に入り込むお父さんたち。
家の床が赤一色に染まる。
そのため全共闘世代が疑われ、警察に濡れ衣をきさせられた。
「こんなに赤くするのは彼ら以外に考えられない」
というのが警察庁長官のコメントだった。
しかしいくら全共闘世代を逮捕してもドアノブはやむことなく人間を攻撃し続けた。
いつしかドアノブのまえに社員たちの屍体がうずたかく積み上がり、その場所は『ゴルゴタの丘』と呼ばれるようになったという‥‥