Inventionのための23のVariations

1

駅の自動改札が人間に牙を剥きはじめた。
挟まって血まみれになるサラリーマンやOLが続出したのだ。
それはあたかも自動改札によるテロの様相を示していたという。
駅員がなおそうとすると、自爆し、新たに設置した自動改札もまた牙を剥きはじめる。
「このままでは電車の意味がなくなってしまう」
そう考えた駅員たちはみずからが自動改札にはさまっているあいだにお客さんを通すという自己犠牲にでたのだった。
血まみれの駅員を踏み越えて電車に乗り込むお客さんたち。
電車の床が赤一色に染まる。
そのため革マル派が疑われ、警察に濡れ衣をきさせられた。
「こんなに赤くするのは彼ら以外に考えられない」
というのが警察庁長官のコメントだった。
しかしいくら革マル派を逮捕しても自動改札はやむことなく人間を攻撃し続けた。
いつしか自動改札のまえに駅員たちの屍体がうずたかく積み上がり、その場所は『聖者の丘』と呼ばれるようになったという‥‥