今週のお題「2010夏の予定」

ガリガリ君」は「ガリガリ高校野球」という特殊な野球をやる野球部の部員たちのことである。「今年の夏こそはガリガリ甲子園に行くんだ!」と皆で円陣を組んで試合が始まった。「ガリガリ高校野球」は、身長170cm以上、体重が50kgを下回る者でなければ選手になれない―そんな厳しいスポーツなのだ。ガリガリのピッチャーが「これが今年に入ってからの、俺の体重の落ち方だ!」と言ってボールを投げた。とてつもなく落ちるフォークボールがキャッチャーミットに収まった。「なんという執念だ‥ここまで体重を落としたというのか」とバッターは呟いた。「だが次の球こそは打ってみせる‥このガリガリの腕でな!」とバッターは言った。
 こうして熱戦は続くかに思われた。だが、あまりにも全員がガリガリのため、直射日光に耐えられず次々とガリガリ君たちは倒れ始めた。「一番の強敵が現れたか‥」と監督は叫んだ。「お前ら、負けるんじゃない!」
 だが監督の叫びも空しく、選手が全員倒れたためゲームセットになった。「今年も駄目だったか‥」と監督は苦い顔で呟いた。
 こうして、「ガリガリ甲子園」の土を踏んだ者は未だにいないのだ。