今週のお題「母親/母の日」


「母の日」を記念するため、母を招待しての仮面舞踏会を、僕は開いた。「誰が母だかわかるまい!」と一人で笑いながら僕は大きな赤い箱を掲げた。「真の母にはこのプレゼントが与えられる」と僕は言った。仮面をつけた無数の女たちが、自分こそ貴方の本当の母親だ、と言い始めた。正直なところ、僕自身にもだれが本物なのか、さっぱりわからなかった。
母を見分けるのはどうしたらいいんだ‥とぼくは考えた。そこでぼくは様々なクイズをだした。「僕が生まれたとき、未熟児だったかどうか」等を○×方式で質問し、次々とふるいわけていったのだ。最後に二人が残った。だがこの二人はどんな質問をしても同じ選択肢をとるのだった。「これではふるいわけれない!」と考えた僕は、父に関することや、僕の友達のことなどで質問していった。こうしてようやく母は一人になり、プレゼントを与えることになったのだ。だが、仮面をつけているため本当に彼女が母親なのかどうかはわからなかった。「むしろこのプレゼントを獲得したものが母だ」と僕は思い込むことにした。
こうして舞踏会は終わり、母は仮面を外した。プレゼントの中身は、仮面舞踏会用の帽子だった。「これで次の母の日もばっちりだろう?」と僕は言った。母は何かを言いたそうに僕を見てきた。


Berenice Abbott
”Janet Flanner in Paris”