今週のお題「ゴールデンウィークの過ごし方」

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ろうそくが燃え続ける間は、常にジェットエンジンを噴射し続けることができるという中学生のりひこは、ゴールデンウィーク中に長大なろうそくを使い、どこまで飛んでいけるか試そうと思っていた。イスタンブールあたりまでは可能なのではないか、とその筋の専門家は言った。「行ける所まで行ってみるつもりです」とのりひこは言った。「だが無茶はするな、海上でろうそくが切れたらそのままボチャンだぞ」と専門家は忠告した。「いえ、夢は必ず叶います。僕はどこまでも飛んでいくことができます!」とのりひこは真っ直ぐで、情熱に燃える瞳で専門家を見据えた。「これが若さか‥」と専門家は呟き、何も言わなくなった。のりひこはこうしてイスタンブールめがけて飛んでいく実験の旅に出たのだ。



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「なんだあれは?」とイスタンブールの人々は空に飛んでいる謎の飛行物体を指差して口々に叫んだ。「アメリカの新兵器か?」「いや、まさしくあれこそUFOだ」と色々な憶測が飛びかった。人々が注視している中、その飛行体はしばらく空高く舞っていた。だが突然、なにかの力が切れたかのようにそれは落下し始め、広場めがけて一直線に降ってきた。大急ぎでその場から逃げ出した人たちは、戻ってきたときに広場が消滅し、クレーターになっている様を見出した。真ん中には四人の中学生が平然としてたたずんでいた。彼らは、「苦難に満ちた僕たちの旅は、成功したんだ‥」とお互いにたたえあった後、「のりひこ、見てるかい?」と言った。