今週のお題「イヌ好き?ネコ好き?それ以外?」

「カルボーン」は、86年から92年まで流行した、犬に対する命令の新しいやつである。当時、「おすわり」「おて」「チンチン」「カルボーン」という流れで犬に対して命令を発するのが流行したのだ。「おすわり」で犬を座らせ、「おて」で犬に前足(決して手ではない)を上げさせ、「チンチン」で犬を立たせる。その後に「カルボーン」と言って犬の目の前に人差し指をつきつける。すると犬は、もう二度と尾を振らなくなり、ごろごろしはじめるのだ。「カルボーン」を命令された犬はみなこの状態になり、何を命令しても最早何も聞かなくなるという。この状態のときに「おすわり」というと、ペッっと唾を床にはき捨てる。そして主人に対して背中を向けてその場でごろごろし、ついにはタバコをふかし始めるのだ。骨を投げたときは拾いに行くが、物凄い面倒くさそうにのたのたと拾い、帰ってくると、主人の前でくわえていた骨を無愛想に投げ捨てる。そしてまた後ろ向きでタバコを吸い続ける。「この様が逆に新鮮だ」という感覚により、一時的にこの命令が流行った。だが、だんだんとその様に対してむかつきはじめ、おまけに二度と元に戻らないので多くの犬好きが猫好きに転向し始めた。「何の命令も聞こうとしない猫はいい」と彼らは口々にそう言ったという。